ルーツ

祖父が亡くなった。享年84歳。誕生日は3月5日だった。父方の祖父が亡くなったのは13年前の3月10日。享年同じく84歳。ちなみにピッタリ誕生日である。

祖父というのが強烈なキャラクターの持ち主で、それにふさわしい浮き沈みの激しい人生を送ってきた。異様に商売が繁盛して「あのままいっていれば市議会議員くらいにはなっていた(本人談)」という時期から一家心中直前期まで。

わがまま、神経質、健康マニア、好奇心旺盛、
そして食に対する異様なこだわり。

10年前に胃を切除して、一回にかなり少量の食事しか食べられなくなっても食へのこだわりは一向に衰えず、ちゃんと作った料理&おやつを1日に5〜8回要求する。おはぎをたべたい、と言い出すのは許容範囲だとしても「小豆からちゃんとつくらないとダメ」ってなぁ。半日潰れますよ。

一度だけ祖父の前で料理を作ったことがある。
2年前の叔父の結婚式の前に親戚一同で会食が行なわれたとき。盛大な刺身の盛り合わせに使われていた鯛と鮃の頭と骨を使って潮汁を作った。私自身もかなり酔っ払ってるし、包丁は切れないし、結構大変だった。

祖父の感想は「おいしい、けど、賢哉君は味付けが関東風なのかな?私の好みは関西風だからもうちょっと薄味の方がいいな。」というもの。しかし、残った分を冷蔵保存して大事に大事にちょっとづつ何度も飲んでいた、という目撃情報が寄せられている。

祖父らしいなぁ、と思いつつも、いつの日かマイ包丁持参で真剣勝負を祖父に挑もうと心に誓う。今度は「おいしい」で終わらせてやる。・・・この感情は祖父のDNAに由来しているような気もするが。

結局、リターンマッチは実現しなかった。

祖父の葬儀の前の朝食。専門の仕出し屋さんの手と思われる精進料理。
ごはん。つけもの。味噌汁。
ひじきの煮物。そば。
炊き合わせ。白ゴマ豆腐。こんにゃくの刺身。
桜餅。メロン。
感動的においしかった。鰹節とか使えない精進ダシでこんなに頑張れるものなんだ。みんな葬儀そっちのけで「ここの精進料理はとにかくおいしくってね、」と盛りあがっていただけのことはある。やっぱり、みんな祖父の血をひいているんだ。


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